「UNICEF(ユニセフ)」という言葉は、ニュースや募金活動のポスターなどで一度は目にしたことがあるでしょう。国際的な子ども支援機関として知られていますが、その成り立ちや活動内容、日本における取り組みまで詳しく知っている人は意外と少ないかもしれません。
さらに、UNICEFは中学・高校の公民や現代社会、時には大学入試の一般常識問題でも頻出するワードです。
本記事では、UNICEFの意味や歴史的背景、現在の活動、日本での取り組み、そして受験対策の観点から重要な知識まで、幅広くまとめています。学習にも日常知識にも役立つ内容を、わかりやすく解説していきます。
UNICEFとは?意味と役割
UNICEFは 「国際連合児童基金(United Nations Children’s Fund)」 の略称です。
もともとは「国際連合国際児童緊急基金(United Nations International Children’s Emergency Fund)」という名前で、第二次世界大戦後に困窮する子どもたちを救う目的で設立されました。のちに名称が短縮され、現在の「国連児童基金」と呼ばれるようになっています。
【UNICEFの正式名称の変遷】
年 | 名称(日本語) | 名称(英語) | 備考 |
---|---|---|---|
1946年 | 国際連合国際児童緊急基金 | United Nations International Children’s Emergency Fund | 戦災孤児の救済を目的に設立 |
1953年 | 国際連合児童基金 | United Nations Children’s Fund | 常設機関化。「Emergency」が取れる |
現在 | 国連児童基金(略称:ユニセフ) | United Nations Children’s Fund | 略称はずっと「UNICEF」のまま |
UNICEFの役割は大きく分けて次の3つです。
- 子どもの生存と発達の保障(栄養・医療・予防接種)
- 教育の普及と質の向上
- 緊急時の人道支援(戦争・災害)

ユニセフって、国連の中の一つの機関ってこと?

そうよ。正式には国連総会の補助機関として活動していて、世界中の子どもたちの命と権利を守る役割を担っているの。

ユニセフは単なる支援団体ではなく、国連加盟国の合意に基づいて活動する国際機関。だから各国政府とも連携して、子どもに関する国際的なルールづくりや政策提言にも力を入れているのです。
UNICEFの成り立ち・歴史・背景
UNICEFの成り立ち・歴史や背景について、紹介します。
設立の経緯
UNICEFは1946年12月、国際連合総会の決議によって設立されました。第二次世界大戦後、ヨーロッパやアジアでは多くの子どもが食糧不足や医療不足で命の危険にさらされていました。その緊急援助のために創設されたのが「国際児童緊急基金」でした。

常設化への道
当初は一時的な緊急基金でしたが、戦後の復興が進むにつれて、途上国における慢性的な子どもの貧困や飢餓、教育問題が浮き彫りになりました。そのため、1953年に国連総会で常設機関化が決定し、「国際連合児童基金」として新たに位置づけられました。
歴史的な節目
- 1965年:ノーベル平和賞を受賞
- 1989年:「子どもの権利条約」の採択を推進
- 2000年代以降:SDGs(持続可能な開発目標)の子ども分野を担当

戦後の子どもを助けるために始まったんだね。じゃあ今はどうなの?

今は、発展途上国の子どもや紛争地の子どもを中心に支援しているわ。教育や保健医療、緊急時の人道支援など多方面で活動しているの。

付け加えると、ユニセフは時代に合わせて活動を広げてきました。戦後直後の救援から始まり、今では子どもの権利を国際的に保障する仕組みづくりにも深く関わっています。
UNICEFの現在の主な活動内容
UNICEFの活動は多岐にわたります。特に次の4つが柱です。
活動分野 | 具体的な内容 | キーワード |
---|---|---|
保健・医療 | ワクチン接種、栄養改善、清潔な水の確保 | 健康・命を守る |
教育 | 学校建設、教材提供、女子教育の推進 | 学ぶ権利 |
緊急人道支援 | 災害・紛争時の食糧、水、避難支援 | 命をつなぐ |
子どもの権利擁護 | 子どもの権利条約の普及、政策提言 | 権利・尊厳 |
保健・医療支援
- ワクチンの供給
- 栄養不良対策(高カロリービスケットの配布など)
- 清潔な水と衛生環境の確保
教育支援
- 学校の建設・補修
- 教材の提供
- 女子教育の推進
紛争・災害下での人道援助
- 難民キャンプでの生活支援
- 緊急時の食糧・水・医療の提供
子どもの権利擁護
- 「子どもの権利条約」の普及啓発
- 各国政府への政策提言

4つの柱があるんだね。どれも欠かせない感じがする。

そうね。特に“教育”は将来を変える力になるから、ユニセフは力を入れているのよ。

補足すると、ユニセフのワクチン供給は世界の子どもたちの命を救う大きな役割を果たしているよ。
日本におけるUNICEFの活動
【日本での主な活動】
日本での活動内容は、以下のようなものが挙げられます。
活動分野 | 具体的な内容 | 特徴・ポイント |
---|---|---|
募金活動 | マンスリーサポート、緊急募金、街頭募金、企業・学校との連携 | 日本は世界有数の募金大国 |
教育普及 | 教材の配布、出前授業、子どもの権利の啓発 | 中高生や一般市民にユニセフの役割を伝える |
広報活動 | キャンペーン、イベント、メディア発信 | 国際問題を「自分ごと」として伝える役割 |
ユニセフハウス | 東京・品川の展示施設で活動や世界の子どもの現状を紹介 | 修学旅行・社会科見学の人気スポット |
国内での支援 | 東日本大震災での子ども支援、教材や遊具提供、心のケア | 国際機関でありながら国内でも活動した珍しい事例 |
日本ユニセフ協会の仕組み
日本におけるユニセフ活動は「公益財団法人 日本ユニセフ協会」が担っています。日本ユニセフ協会は世界で唯一、ユニセフ本部から公式に認められたパートナー組織であり、日本国内での募金・広報・教育活動を行います。
【日本ユニセフ協会の役割】
寄付 → 日本ユニセフ協会 → 国際ユニセフ本部 → 世界各地で子ども支援
募金の仕組み
- マンスリーサポート:毎月一定額を寄付する仕組み
- 緊急募金:地震や洪水などの大災害時に特設口座を開設
- 企業・学校連携:CSR活動や生徒会による募金キャンペーン

ユニセフハウス(東京・品川)
東京・品川には「ユニセフハウス」という展示施設があります。ここでは世界の子どもの現状やユニセフの活動を学べる展示があり、修学旅行や社会科見学で訪れる学校もあります。

日本のユニセフって、寄付を集めるだけ?

いいえ、それだけじゃないわ。教育普及活動や展示施設“ユニセフハウス”を運営して、子どもの権利を日本国内で広める活動もしているの。

補足すると、日本は世界でも有数の募金額を誇る国。つまり“募金大国”なのです。国際社会の中でも重要な資金源になっています。
日本での募金キャンペーンの具体例
日本ユニセフ協会は、災害や紛争が発生すると「緊急募金キャンペーン」を展開し、多くの日本の市民や企業が協力してきました。
【実例①:東日本大震災(2011年)】
- 日本国内の子ども支援としてユニセフが直接活動した珍しいケース。
- 被災地の保育所・幼稚園へ教材や遊具を提供。
- 心のケアプログラムを実施。
【実例②:シリア内戦・難民支援】
- 日本国内で大規模な街頭募金キャンペーンを実施。
- 食糧・水・教育支援に充当。
【実例③:ウクライナ危機(2022年~)】
- 日本ユニセフ協会が緊急募金を展開。
- 集まった資金で避難所や学校の支援、医療物資の供給。
- 多くの企業や芸能人が寄付を呼びかけ、社会全体の関心を高めた。

ユニセフって日本国内でも活動していたんだ!

そうよ。東日本大震災では被災地の子どもたちを直接支援したの。国際機関なのに国内でも動いたのは珍しい例ね。

最近ではウクライナの支援も注目されました。世界中の人が関心を持つ中、日本からの募金も大きな力になっています。
受験対策としてのUNICEF
UNICEFは入試問題に出題されることもあります。ここでは、受験対策として覚えておくべくポイントをまとめました。
出題されやすい知識(整理)
- 設立年:1946年(戦災孤児救済のため)
- ノーベル平和賞:1965年
- 略称の由来:「Emergency」が取れてもUNICEFのまま
- 活動分野:保健・教育・人道支援・子どもの権利
- 他機関との区別:UNESCOとの混同注意!
過去問風の例題追加
【高校入試風】
次の国際機関とその役割の組み合わせのうち、正しいものを選べ。
- WHO ― 教育や文化の発展
- UNESCO ― 世界保健の向上
- UNICEF ― 子どもの権利と福祉の向上
- ILO ― 食糧農業問題の解決
→ 正解:3
【大学入試風】
第二次世界大戦後、戦災孤児を救うために設立され、その後常設化された国際機関はどれか。
A. UNESCO B. WHO C. ILO D. UNICEF
→ 正解:D
受験対策!暗記チェック問題集
◯×問題
- UNICEFは第二次世界大戦後、戦災孤児を救済するために設立された。(◯)
- UNICEFの正式名称は「国際連合教育科学文化機関」である。(× → それはUNESCO)
- 日本ユニセフ協会はユニセフ本部の正式なパートナー組織である。(◯)
- UNICEFは主に子どもの権利を守る活動をしているが、教育支援は行っていない。(× → 教育は主要な活動分野)
- 1965年、UNICEFはノーベル平和賞を受賞した。(◯)
穴埋め問題
- UNICEFは1946年に設立され、当初は「国際連合国際児童___基金」と呼ばれた。
👉 答え:緊急(Emergency) - UNICEFが1953年に常設化されたとき、正式名称から「___」という単語が取れた。
👉 答え:Emergency - UNICEFは1965年に___を受賞した。
👉 答え:ノーベル平和賞 - UNICEFとUNESCOを混同しないように、UNICEFは___(子ども)、UNESCOは___(文化)と覚えるとよい。
👉 答え:Children/Culture
覚え方の工夫
【UNICEFとUNESCOの違い】
UNICEF → 子ども・福祉・緊急支援
UNESCO → 教育・科学・文化・世界遺産

UNICEFとUNESCO、名前が似てるからややこしいな…

そうね。覚え方のコツは“C=Children(子ども)”とイメージすることよ。

さらに言うと、UNESCOの“CO”はCulture(文化)を連想するといいです。こうして頭文字に意味をもたせれば混同を防げます。
🌟 豆知識コラム:社会人にも役立つUNICEFの知識
UNICEFのロゴの意味
- 青い地球と母子のシルエットが描かれたロゴは、 「すべての子どもに平等な権利を」 という理念を表現しています。
- 青は「平和と希望」、オリーブの枝は「安全と保護」を象徴。
👉 会議や雑談で「UNICEFのロゴって平和を意味するんだよ」と話せば、国際感覚を持っている印象を与えられます。
日本は「募金大国」
- 日本ユニセフ協会は世界でも有数の募金額を誇り、常にトップクラス。
- つまり、日本人の寄付文化は世界から高く評価されています。
👉 海外の人との交流で「日本はユニセフ募金が盛んな国なんですよ」と話すと、良い会話のきっかけに。
ユニセフ親善大使の存在
- 世界的には オードリー・ヘプバーン(女優)が有名。彼女はUNICEFの活動を広めた功績で今も語り継がれています。
- 日本では 黒柳徹子さん がユニセフ親善大使。長年にわたりアフリカなどの現場を訪問し、支援の大切さを伝えてきました。
👉 「徹子の部屋」の徹子さん=ユニセフ、と結びつけて覚えておくと会話で役立ちます。
寄付の税制優遇
- 日本ユニセフ協会への寄付は 税控除の対象 になります。
- 個人も企業も節税効果があり、CSR活動の一環として利用されています。
👉 ビジネスの場でも「寄付は社会貢献だけでなく税制優遇にもつながる」と知っておくと便利。
世界遺産との混同に注意!
- UNICEF(子ども)とUNESCO(文化・世界遺産)はよく混同されます。
- 商談や会話でうっかり間違えると「知識不足?」と思われがち。
👉 大人としての一般常識としても、違いを押さえておくのは必須です。
💡 コラムまとめ
- UNICEFのロゴは「子どもと平和」の象徴。
- 日本は世界的に見ても募金大国。
- 親善大使(黒柳徹子・オードリー・ヘプバーン)を覚えておくと会話に役立つ。
- 寄付は税制優遇の対象。
- UNESCO(文化)と混同しないことは社会人の常識。

へえ、ユニセフって募金だけじゃなく、税制優遇もあるんだ!

そうよ。社会人にとっては“節税+社会貢献”の両面でメリットがあるわ。

しかも黒柳徹子さんの活動は、国際社会からも高く評価されています。会話のネタにすると“知ってるね!”って一目置かれるかも。
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