ビジネスメールや報告書などで見かける「事後承諾」という言葉。
一見、かたくるしい表現ですが、実は“報告が後になってしまったとき”に便利に使える四字熟語です。
しかし、使い方を誤ると「勝手に決めた」と誤解され、相手に不快な印象を与えてしまうことも。
この記事では、「事後承諾」の正しい意味・使い方・例文・類義語・対義語・英語表現までを、
わかりやすく解説します。ビジネスシーンでの適切な使い方も紹介しますので、
社会人必見の内容です!
ヒロト昨日、勝手にケーキ食べちゃったんだけど……“事後承諾”ってことでいいよね?
コトハいいえ、それは“事前に許可をもらうべき案件”よ。🍰
「事後承諾」の意味とは?わかりやすく解説
「事後承諾」とは、じごしょうだくと読み、事前の承諾なしになされた行為に対して、事が済んでから関係者が承諾を与えること。という意味があります。
「事後承諾」の読み方
「事後承諾」は、じごしょうだくと読みます。
意味をわかりやすく説明
「事後承諾」とは、物事を実行したあとで、相手に許可や同意を求めることを意味します。
つまり、「先に行動してしまい、あとから了承を得る」ことを指す表現です。
たとえば、上司に報告する前に取引先との打ち合わせを済ませてしまった場合、
「今回は事後承諾となり申し訳ありません」と使うことで、
「事前に相談できなかったけれど、後からご理解をお願いしたい」という丁寧なニュアンスを伝えます。
辞書的な定義(引用)
【事後承諾】
物事を行ったあとで、あとから相手に承諾を求めること。
(出典:デジタル大辞泉)
このように、「事後承諾」は形式的な謝意や説明を伴う場面でよく使われます。
特にビジネスでは、「ご迷惑をおかけしましたが、事後承諾いただければ幸いです」など、
慎重かつ丁寧な表現として用いられることが多いです。
ヒロト『事後承諾』ってどんなことを意味するの?もう少し詳しく教えて!
コトハ簡単に言えば、“先にやっちゃって後で許してもらう”ってことね。
でも、ビジネスでは“丁寧なお願い”として使うこともあるのよ。
「事後承諾」の語源や由来
事後承諾(じごしょうだく)という四字熟語は、意味としては「事が済んでから、あとで関係者の承諾を得る/与えること」を指します。
しかしながら、語源・由来となる明確な「故事」「出典」「時代背景」が記されている資料は少なく、辞書などでも「典拠・出典なし」とされているケースが多いです。
以下では、既存の辞書・熟語辞典が記す情報をもとに「語源・由来の考察」を整理します。
承諾という語の背景
まず「承諾(しょうだく)」という二字熟語自体を見ておくと、
- 「承」は「承る・うけたまわる/ひきうける」という意味を持つ漢字です。
- 「諾」は「うべなう・ひきうける」という意味。
つまり「承諾」は「受け入れて引き受ける」という意味合いが元になっています。
このことから、「事後承諾」は「あとから承諾を引き受ける(=受け入れる)こと」という構造が成り立っていると考えられます。
“事後”という語のニュアンス
「事後(じご)」とは、「物事が済んだあとのこと」を指す語です。「事前」の対義語として使われることもあり、時間の順序・手続きの順序のズレを示唆します。
この「事後」と「承諾」が結びつくことで、「先に行動/事を起こして、あとで承諾を得る」状況を端的に言い表す熟語となりました。
出典・初出の情報
辞典・熟語辞典を調べると、以下のような記述があります:
考察:なぜ四字熟語化したのか
なぜ「事後承諾」が四字熟語として定着したのかについて、以下のような背景を推察できます:
- ビジネス・公文書用途への適応
日本の企業・行政文書では「事前承諾」「事後承諾」といった形で手続きのタイミング・責任範囲を明示する必要があります。そうした場面で短く明確に「事後承諾」という言葉が使えることが重宝されたと考えられます。 - 漢語構成の四字化
漢字四字構成の熟語は、日本語において「格式」「重み」「簡潔さ」を持ちやすいため、ビジネス文書や報告書で用いられることが多いです。つまり「事後+承諾」をそのまま四字熟語として整理した結果とも言えます。 - 手続きのズレ・責任の所在を明確にするため
「本来ならば事前に了承を得ておくべきことを、事後に了承を求める」状況には、責任・説明義務のズレが生じます。そのズレを言語化するために、「事後承諾」という語が一定の意味を持って使われるようになったと推察されます。
注意点:語源・由来として「中国語典籍」由来ではない可能性
多くの四字熟語は中国の古典や故事成語に由来していることがありますが、「事後承諾」に関しては、古典中国語資料に同形・同義の語が確認されていないという辞典記述があります。 たとえば四字熟語辞典には典拠・出典が記されておらず、どこか近代以降に日本で整理された語である可能性が高いとされています。
つまり、語源を「◯世紀の中国の書物から」と断定できる根拠は現状では乏しいため、当記事では「手続き用語として日本で生まれ/定着した漢語構成」として扱うことが適切です。
「事後承諾」の使い方を例文でわかりやすく解説
それでは、「事後承諾」の正しい使い方を具体的にイメージできるようわかりやすい例文をご紹介します。
ヒロト事後承諾ってどういう場面で使ったりするの?
コトハ“事後承諾”は、先に行動してしまってから後で相手の理解をお願いするときに使うの。たとえば報告が遅れたときや、緊急で判断したあとなど、謝意を込めて説明したい場面ね。

- 上司・取引先への報告や謝罪メール
- 申請・決裁が後になったとき
- 緊急対応・現場判断のあとに報告する場合
- 他部署・関係者への連絡が遅れたとき
- 家庭・私生活で「あとから説明」する場面
- 「やむを得ず」「申し訳ありません」などのクッション表現を添える
- 事前に報告できなかった理由を簡潔に添える
- 何度も使うと誠意が伝わらなくなるため乱用しない
「事後承諾」の例文①
ビジネスメールで使う場合
ヒロト昨日の資料提出、上司に事前報告してなかったんだよね……。
コトハその場合は“事後承諾となり恐縮ですが”って書くと丁寧よ。
たとえば――「今回の対応につきましては、事後承諾となり恐縮ですが、
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。」のようにね。
例:「今回の対応につきましては、事後承諾となり恐縮ですが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。」
ヒカル“勝手にやった”印象を和らげるために、“恐縮ですが”を添えるのがポイントですね。
「事後承諾」の例文②
緊急対応で使う場合
ヒロトトラブル対応で先に動いたんだけど、報告が遅れちゃって……。
コトハそんなときは“やむを得ず事後承諾の形で対応いたしました”って言えばOKよ。
例:「急を要する状況でしたので、やむを得ず事後承諾の形で対応いたしました。
ご迷惑をおかけしましたが、今後は事前にご相談いたします。」
ヒカル“やむを得ず”という言葉で、状況を説明しながら誠実さを伝えていますね。
「事後承諾」の例文③
日常会話で使う場合
ヒロト昨日、勝手に友達と旅行の予約しちゃったんだけど……母さん怒るかな?
コトハ“事後承諾になっちゃってごめん”って素直に言えば大丈夫よ。
例:「昨日の旅行予約、事後承諾になってごめんね。今度はちゃんと相談してから決めるよ。」
ヒカルビジネス以外でも、“あとから説明する”ときにやわらかく使える便利な表現ですね。
「事後承諾」の言い換え表現を例文を使ってわかりやすく解説
「事後承諾」は少しかしこまった表現なので、日常会話や社内の軽いやり取りでは、もう少し柔らかい言葉に言い換えることもできます。
ここでは、同じような意味をもつ言い換え表現を2つ紹介します。
【事後承諾の言い換え表現】
①「後から説明する」
②「やむを得ず対応した」
「後から説明する」の例文
「後から説明する」は、「事後承諾」というほど形式的でなく、“先に行動して後から報告する”ときに使える自然な表現です。
社内や友人とのやり取りなど、堅苦しくしたくない場面に向いています。
ヒロト先に資料を提出しちゃったけど、大丈夫かな?
コトハ“後から説明しますね”って伝えれば問題ないわ。
「今回は先に対応いたしましたが、後から説明させていただきます。」のように言うといいわね。
ヒカル“報告漏れではなく、あとで説明する意志がある”ことが伝わる言い方ですね。
「やむを得ず対応した」の例文
「やむを得ず」は、事情があって事前に許可を取れなかったことを丁寧に示す表現です。
「事後承諾です」と言うよりも、柔らかく誠実な印象になります。
ヒロト上司に確認できなかったけど、現場で判断して動いたんだ。
コトハその場合は“やむを得ず対応しました”で伝えるのがいいわね。
「急な変更でしたので、やむを得ず対応いたしました。
後ほど詳細をご報告いたします。」のようにね。
ヒカル“やむを得ず”を使うことで、誠意を保ちながら状況を説明できています。
「事後承諾」の類義語
「事後承諾」と意味が近い言葉には、次の2つがあります。
どちらも「あとから認める」「既に起きたことを受け入れる」といった共通点をもっています。
【事後承諾の類義語】
① 既成事実(きせいじじつ):すでに起こってしまった事柄。あとから変更できない事実。
② 現状追認(げんじょうついにん):現在の状況を、そのまま認めること。変更や修正を加えない姿勢。
「既成事実」の例文
既成事実(きせいじじつ)は、すでに起こってしまった事柄。あとから変更できない事実。を意味します。
「事後承諾」が“相手の了承をあとから得る”ことを示すのに対し、
「既成事実」は“すでに起こってしまい、了承の余地がない”状態を指します。
ヒロト会社がもう契約を結んじゃってたんだって!
コトハそれはもう既成事実ね。あとは事後承諾を得るしかないわ。
ヒカル“既成事実”は、もう覆せない現実を表す言葉ですね。
「現状追認」の例文
現状追認(げんじょうついにん)は、現在の状況を、そのまま認めること。変更や修正を加えない姿勢を意味します。「現状追認」は“今ある形を受け入れる”ことを示し、
“あとから了承する”という点で「事後承諾」と近い関係にあります。
ただし、「仕方なく受け入れる」「やむを得ず認める」という消極的なニュアンスを含むのが特徴です。
ヒロトもう上層部もこの決定を変えないみたいだよ。
コトハそうなると、現状追認するしかないわね。
ヒカル“現状追認”は、結果的に認めるという少し控えめな表現です。
「事後承諾」は“後から了承を得る”行為を指し、
「既成事実」は“もう起こってしまった事実”、
「現状追認」は“現状をそのまま受け入れる”こと。
似ているようで、立場や行為の向きが少しずつ違うのがポイントですね。
「事後承諾」の対義語
「事後承諾」には明確な対義語はありませんが、反対の意味をもつ言葉として次の2つが挙げられます。
どちらも“事前に許可や同意を得る”という点で「事後承諾」と対をなしています。
【事後承諾の対義語】
① 事前承諾(じぜんしょうだく):物事を行う前に、あらかじめ相手の承諾を得ること。
② 事前相談(じぜんそうだん):行動する前に、関係者に意見や許可を求めて相談すること。
「事前承諾」の例文
「事前承諾」は、物事を行う前に、あらかじめ相手の承諾を得ることを意味します。
「事後承諾」が“行動後に承諾を求める”のに対し、
「事前承諾」は“行動前に承諾をもらっておく”ことを指します。
ビジネスシーンでは、トラブルを防ぐためにこの「事前承諾」が望ましいとされます。
ヒロト新しい企画を進めたいんだけど、上司に言わなくてもいいかな?
コトハそれはダメ。必ず事前承諾をもらってから動くのよ。
ヒカル“事前承諾”は信頼関係を守る基本ルールなんですね。
「事前相談」の例文
「事前相談」は、行動する前に、関係者に意見や許可を求めて相談することを意味します。
「事前相談」は“正式な承諾を得る前に話し合っておく”という柔らかい表現です。
「事後承諾」と違い、相手に配慮したうえで事を進める姿勢を表します。
ヒロト新しい手順に変える前に、どうしたらいいかな?
コトハまずは事前相談して、みんなの意見を聞いてみましょう。
ヒカル“事前相談”は承諾よりも早い段階の対話ですね。
「事後承諾」が“あとから了承を求める”言葉なのに対し、
「事前承諾」や「事前相談」は“前もって許可・意見を得る”表現です。
状況や立場に応じて、この2つを上手に使い分けることで、
トラブルを防ぎ、信頼を築くことができます。
「事後承諾」の英語表現
「事後承諾」は、英語では直訳が難しい表現ですが、意味として近い言い回しには次のような表現があります。
【事後承諾の英語】
- approval after the fact(直訳:事後の承認)
- seek approval afterwards(後から承諾を求める)
- request retroactive approval(さかのぼって承諾をお願いする)
いずれも、「先に行動して、あとから許可を得る」というニュアンスを含んでいます。
「approval after the fact」の例文
ヒロト『事後承諾』って英語でどう言えばいいの? “I’m sorry for doing it later” じゃ変だよね?
コトハ“Approval after the fact” って言うのが一番近いかな。
たとえばこんなふうに使えるわ。
例文(英文):
“I had to make the decision quickly, so I hope for your approval after the fact.”
(日本語訳)
「迅速な判断が必要だったので、事後承諾いただければ幸いです。」
ヒカル“after the fact” は “事が起きたあとで” という意味なんです。
フォーマルなメールなら “I would appreciate your approval after the fact.” が自然ですよ。
「request retroactive approval」の例文
ヒロトもっとビジネスっぽく言いたい場合は?
コトハ“request retroactive approval” も使えるわね。
例文(英文):
“We’d like to request retroactive approval for this change.”
(日本語訳)
「この変更について、事後承諾をお願いしたいと考えております。」
ヒカル“retroactive” は “遡及的な” という意味で、書類や契約の場面でもよく使われますよ。
まとめ
- 「事後承諾」は英語で “approval after the fact” や “retroactive approval” と言う。
- ビジネスでは “We’d appreciate your approval after the fact.” などの丁寧表現が自然。
- “after the fact” は「あとになって」「事が終わったあとで」を意味する日常的な表現。
「事後承諾」は“後からお願い”を丁寧に伝える言葉
この記事のポイント3つ
- 事後承諾(じごしょうだく)とは、物事を行ったあとで相手に了承を得ること。
- ビジネスでは「やむを得ず後から説明する」際に使う、丁寧で誠実な表現。
- 「やむを得ず」「恐縮ですが」などのクッション表現を添えると、より好印象になる。
覚えておきたい類義語と対義語
| 種類 | 言葉 | 意味のポイント |
|---|---|---|
| 類義語 | 既成事実 | すでに起こった事実として受け入れること |
| 類義語 | 現状追認 | 現在の状況をそのまま認めること |
| 対義語 | 事前承諾 | 行動の前に承諾を得ること |
| 対義語 | 事前相談 | 行動前に意見や了承を求めて話し合うこと |


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