射石飲羽(しゃせきいんう)という四字熟語を知っていますか?
この言葉は、「どんなに硬い石でも射抜き、どんなに軽い羽でも飲み込むほどの努力をする」というたとえから生まれました。
つまり、限界を超えて努力し、不可能を可能にする強い意志を表す言葉です。
本記事では、「射石飲羽」の意味・語源・使い方・例文をはじめ、類義語・対義語・英語表現までをわかりやすく解説します。
読んだあとには、この言葉の力強さと奥深さを実感できるはずです。
ヒロト昨日、夜中までレポート書いてたんだ。まさに射石飲羽だよ!
コトハえらい!でも次は、その努力で早寝も射石飲羽してね。
「射石飲羽」とはどんな意味?わかりやすく解説
「射石飲羽」とは、しゃせきいんうと読み、集中して必死の思いで事にあたれば、どんな困難なことでも成し遂げることができるということ。という意味があります。
射石飲羽の意味を辞書で調べると、このように解説されております。
【射石飲羽の意味】
四字熟語辞典より引用
- 集中して必死の思いで事にあたれば、どんな困難なことでも成し遂げることができるということ。
- 楚の熊渠子が暗闇の中でうずくまる虎を狙い、集中して力いっぱい矢を射て確認してみると、虎ではなく大きな石に矢の羽までも深く突き刺さっていたという故事から。
「射石」は弓で石を射ること。
「飲羽」は矢の羽までも深く突き刺さるという意味。
出典 『韓詩外伝』「六」
「射石飲羽」とは、どんなに硬い石をも射抜き、どんなに軽い羽でも飲み込むほどの努力をする
というたとえから生まれた言葉です。
つまり、「不可能を可能にするほどの強い意志と努力」
を意味します。
常識を超えた努力・諦めない精神を称える言葉で、
「限界を超える努力」「信念の力」「不屈の挑戦」などの意味を持ちます。
ヒロト『射石飲羽』って何だかすごい字面だね。石を射抜いて羽を飲むって、どういう意味なの?
コトハちょっと変わってるよね。でもこれは“それほどの努力”をたとえているの。石を射抜くなんて普通は無理。でも、その不可能を可能にするぐらい一心に頑張る、という意味なのよ。
「射石飲羽」の語源や由来
射石飲羽の語源や由来は以下のとおりです。
【射石飲羽の語源や由来】
四字熟語辞典より引用
- 楚の熊渠子が暗闇の中でうずくまる虎を狙い、集中して力いっぱい矢を射て確認してみると、虎ではなく大きな石に矢の羽までも深く突き刺さっていたという故事から。
「射石」は弓で石を射ること。
「飲羽」は矢の羽までも深く突き刺さるという意味。
故事成語としての背景
「射石飲羽」は、中国の古典『淮南子(えなんじ)』に由来する故事成語です。
この書物は紀元前2世紀ごろ、前漢の王である劉安(りゅうあん)が編纂した哲学書で、
自然・道徳・政治など、さまざまな教えがまとめられています。
その中に、次のような一節があります。
「志を専(もっぱ)らにすれば、石をも射、羽をも飲む。」
つまり、
「意志を集中すれば、どんな硬い石でも射抜けるし、軽い羽でも飲み込める」
という意味のたとえから、「射石飲羽」という言葉が生まれました。
「石を射て羽を飲む」のたとえが生まれた理由
この表現は、「硬いもの(石)」と「軽いもの(羽)」という正反対の2つを対比させることで、
「どんな条件でも克服する力」を象徴しています。
- 石=「不可能」「障害」「現実の壁」
- 羽=「軽すぎて扱えないもの」「理想」「はかない夢」
この2つを「射る」「飲む」という動作で征服する――
つまり、「どんな困難でも、精神の集中と努力で克服できる」という意味が込められています。
「射石飲羽」が伝えるメッセージ
「射石飲羽」は、ただの努力を超えて、「精神の集中力」「信念の強さ」を説く言葉です。
現代風に言えば、「メンタルの力で不可能を乗り越える」――そんなニュアンスがあります。
たとえば、受験勉強やスポーツ、仕事などで「もう無理だ」と思ったとき、
「射石飲羽」の精神を思い出せば、「やればできる」という強い信念を取り戻せます。
「射石飲羽」の使い方を例文でわかりやすく解説
それでは、「射石飲羽」の正しい使い方を具体的にイメージできるようわかりやすい例文をご紹介します。
ヒロト「射石飲羽」ってどういう場面で使ったりするの?
コトハ困難に直面してもあきらめず、強い意志と努力でやり遂げようとする場面で使います。受験・スポーツ・仕事などで「限界を超える挑戦」をたたえる時に用いられます。

「射石飲羽」は、強い意志と努力で不可能を可能にするような状況で使われます。
日常会話よりも、文章やスピーチ、褒め言葉などでよく使われる表現です。
使用される代表的な場面は次の5つです
- 大きな目標に向かって努力し続けている人を称えるとき
- 受験や大会など、苦しい挑戦を乗り越えたとき
- 不利な状況でも諦めずに成果を出したとき
- 困難な仕事・研究・発明を成し遂げたとき
- 「努力は必ず報われる」と伝えたいとき
- 「射石飲羽」は前向きな褒め言葉です。失敗や努力不足を指摘する場面では使いません。
- 「不屈の努力」「限界を超えた挑戦」というポジティブな文脈で使うのが基本です。
- 口語でも使えますが、少し堅めの印象を与えるため、スピーチ・作文・記事などに向いています。
例文① 日常会話での使い方
ヒロトKくんテスト前の3日間、寝ずに勉強したんだって!?まさに射石飲羽だね!
コトハほんとね。諦めずに頑張る姿は立派だったわ。努力って、結果以上に価値があるのよ
ヒカル“射石飲羽”って、ただ頑張るだけじゃなく、“自分の限界を超える努力”を意味するの。だからこの言葉がぴったりね。
ここでは「射石飲羽」を、人の努力を称賛する言葉として使っています。
友人や後輩などに向けて、感謝や尊敬を込めて使うと自然です。
例文② ビジネス・仕事の場面での使い方
ヒロトあのプロジェクト、納期が厳しい中で最後までやり遂げたのは本当にすごいね!
コトハあのチームこそ射石飲羽の精神ね。諦めずにやり抜く力があったのよ。
ヒカルそう、“射石飲羽”は組織やチーム全体の努力にも使えます。困難な目標を達成した時にふさわしい言葉といえます。
この場合、「射石飲羽」はチームの不屈の努力や精神力を評価する意味で使われています。
スピーチや報告書などで用いると、格調高く伝わります。
例文③ 自己啓発・文学的な使い方
ヒロト何度失敗しても挑戦を続ける人を見ると、まさに射石飲羽の精神だなって思うんだ。
コトハええ。“努力は裏切らない”って言葉、そのものね。
ヒカル射石飲羽は、“努力の先にある奇跡”を信じる心を表しています。
この用法では、「射石飲羽」は人生の姿勢や信念を表す比喩的表現として使われています。
文学作品や自己啓発書などにもふさわしい表現です。
「射石飲羽」の言い換え表現を例文を使ってわかりやすく解説
日常語で言い換えると
「射石飲羽(しゃせきいんう)」は格調高い表現ですが、
日常会話ではもう少しやわらかい言葉に置き換えることができます。
意味としては、
「どんな困難にも負けずに努力を続けること」
「あきらめず、全力で挑戦すること」
を指すため、次のような言い換えが自然です。
| 言い換え表現 | 意味 |
|---|---|
| 努力を惜しまない | 成功のために精一杯の努力を続ける |
| 全力を尽くす | できる限りの力を使って取り組む |
| 不屈の精神で挑む | 失敗してもくじけずに立ち向かう |
| 死力を尽くす | 命を懸けてでもやり遂げようとする |
言い換え①:「努力を惜しまない」
ヒロト受験前、毎朝5時に起きて勉強してるって聞いたよ。
コトハそうね。日常的に言うなら“努力を惜しまない”って感じかしら。地道な積み重ねが力になるのよ。
ヒカル“射石飲羽”と“努力を惜しまない”は、どちらも“粘り強い姿勢”を表してるいます。漢語的に言うか、やわらかく言うかの違いです。
解説:
「努力を惜しまない」は、“射石飲羽”を最もやさしく置き換えた表現です。
日常会話・作文・スピーチなど幅広く使える言葉です。
言い換え②:「全力を尽くす」
ヒロト最後まで全力でがんばったのに、結果は惜しかったなぁ……。
コトハでも“全力を尽くして”頑張ったでしょ?それが一番大事よ。
ヒカル“全力を尽くす”は“結果よりも過程を大切にする努力”を意味する言葉です。射石飲羽の精神そのものといえます。
解説:
「全力を尽くす」は、仕事・部活動・受験など多くの場面で使える万能な言い換えです。
“努力の過程”を重視する点が「射石飲羽」と共通しています。
言い換え③:「不屈の精神で挑む」
ヒロト何度も失敗しても挑戦し続ける人って、本当に尊敬する。
コトハそうね。“不屈の精神で挑む”姿、素晴らしい生き方ね。
ヒカル“不屈”っていう言葉には、“折れない心”という意味があります。精神的な強さを伝えたい時にぴったりです。
解説:
「不屈の精神で挑む」は、「射石飲羽」の精神的側面を強調する言い換えです。
スポーツ選手や偉人の努力を語る際にも自然に使えます。
「射石飲羽」の類義語
「射石飲羽」には、同じように努力・信念・忍耐を表す四字熟語がいくつかあります。
特に意味が近いのは次の2つです
それぞれ、使われる場面やニュアンスに少し違いがあります。
「一念通天」の例文
一念通天(いちねんつうてん)は、強い思いを貫けば、その願いは天にも届くという意味です。
つまり、「心を一つのことに集中して努力し続ける」という考えを表します。
ヒロト英検の勉強、もう半年続けてるんだ。正直、結果が出なくて落ち込みそうだったけど…やっぱり続けようと思ってる。
コトハそれでいいのよ。ひとつの思いを貫くことって、きっとどこかで報われるもの。
ヒカルそうそう。“一念通天”っていう言葉があるけど、まさにその姿勢のことを言います。
ポイント:
「一念通天」は、“信じる力”や“思いの強さ”を大切にする人を励ますときに使われます。
信念を持ち続けることを美徳として語るときにぴったりです。
「百折不撓」の例文
百折不撓(ひゃくせつふとう)は、何度折れても、決してくじけない強い心。
どんな困難に直面しても、立ち上がり続ける姿勢をたたえる言葉です。
ヒロト昨日のマラソン大会、転んでも最後まで走り切ったね。あの根性、見てて胸が熱くなったよ。
コトハありがとう。もうダメだと思ったけど、応援が聞こえて、自然に体が動いたのよ。
ヒカルそういう姿こそ、“百折不撓”って言葉が似合います。何度倒れても立ち上がる、その力が本当の強さだと思う。
ポイント:
「百折不撓」は、“何度失敗しても諦めない人”に向けた称賛の言葉です。
努力よりも「粘り強さ」「立ち上がる強さ」を重視するときに使われます。
3つの比較まとめ
| 四字熟語 | 意味の中心 | 強調する要素 | ニュアンスの違い |
|---|---|---|---|
| 射石飲羽 | 不可能を可能にする努力 | 集中力・精神力 | 限界突破型 |
| 一念通天 | 信念を貫けば道が開ける | 信念・意志 | 信じ続ける力 |
| 百折不撓 | 何度失敗してもくじけない | 忍耐・根性 | 立ち上がる強さ |
「射石飲羽」の対義語
「射石飲羽」は“努力の象徴”ですが、
その反対には「何もしない」「気力を失う」といった言葉が存在します。
はっきりとした反意語はありませんが、
意味が対照的なものとして 以下の2つの言葉を紹介します 。
「無為徒食」の例文
無為徒食(むいとしょく)は、何もせずにただ食べて日々を過ごすことを意味します。
働かず、努力もせず、成果も生まない状態をあらわす四字熟語です。
「無為」は“何もしないこと”、“徒食”は“むだに食べる”という意味から、
全体で「何の働きもなく生きていること」を指します。
ヒロト最近、勉強も部活もサボり気味でさ…。なんだか何もやる気が出ないんだ。
コトハ誰にでもそういう時期はあるわ。でも、ずっとそのままだと“無為徒食”の生活になっちゃうかもよ?
ヒカルそうそう。“動かない時間”が増えると、心も鈍ってしまうからね。少しずつでも何か始めよう!
ポイント:
「無為徒食」は、“行動しない”ことへの警鐘として使われます。
努力や挑戦を放棄した状態をやわらかく表現したい時に向いています。
「意気消沈」の例文
意気消沈(いきしょうちん)は、元気ややる気を失って、落ち込んでしまうことを意味します。
「意気」は“気力・活気”、“消沈”は“しずんでしまう”という意味です。
ヒロト大会で負けちゃって、もう練習する気が起きないよ……。
コトハそんなに落ち込まないで。意気消沈してる時ほど、次の挑戦に向けて心を休めるのが大事よ。
ヒカルそうね。気持ちが沈む時もあるけど、それがあるからまた立ち上がれるんだと思うわ。
ポイント:
「意気消沈」は、一時的にやる気をなくしている状態を表す柔らかい言葉です。
完全に怠ける意味の「無為徒食」とは違い、「心の疲れ」を描くときに使われます。
比較まとめ
| 四字熟語 | 意味 | 状態 | ニュアンス |
|---|---|---|---|
| 射石飲羽 | 不可能を可能にするほどの努力 | 前向き・挑戦 | 強い意志・集中力 |
| 無為徒食 | 何もせずに日々を過ごす | 消極的・怠惰 | 行動を放棄 |
| 意気消沈 | やる気を失って落ち込む | 一時的な落ち込み | 気持ちの低下 |
「射石飲羽」の英語表現
「射石飲羽」を英語で直訳することは難しいですが、意味を伝えるフレーズはいくつかあります。
この言葉が持つ「限界を超える努力」「不可能を可能にする精神」を表す英語表現として、
以下の2つを紹介します。
【射石飲羽の英語】
・英語表現①:“Make the impossible possible”:不可能を可能にする
・英語表現②:“Unyielding effort”:ゆるがない努力/不屈の努力
「Make the impossible possible」の例文
“Make the impossible possible”は、不可能を可能にするという意味です。
ヒロト「射石飲羽」を英語で表現した例文を教えて!
コトハ“If you believe in yourself and never give up, you can make the impossible possible.”のように表現することができます。
日本語訳:自分を信じてあきらめなければ、不可能なことも可能になる。
ヒカル自分を信じてあきらめない気持ちが大切ですね。
補足解説:
この表現は、モチベーションスピーチや成功談などでよく使われます。
「限界を超える挑戦」や「最後までやり抜く姿勢」を称える時にぴったりです。
「Unyielding effort」の例文
“Unyielding effort”は不屈の努力・ゆるがない努力を意味します。
ヒロト「射石飲羽」を英語で表現した例文をもう1つ教えて!
コトハ“His unyielding effort finally led him to success.”のように表現することができます。
日本語訳:彼の不屈の努力が、ついに成功へと導いた。
ヒカル“彼の不屈の努力が、ついに成功へと導いた”――まさに挑戦の物語にぴったりの言葉ね。
補足解説:
“Unyielding effort”は、「どんな苦難にも折れずに頑張り続ける努力」を表す時に最適です。
フォーマルな場でも使える落ち着いた表現です。
「射石飲羽」を現代に活かす方法
「射石飲羽(しゃせきいんう)」の考え方は、
ただの古い四字熟語ではなく、
現代のストレス社会を前向きに生きるためのヒントを教えてくれます。
努力や挑戦の価値が見えにくい時代だからこそ、
この言葉の精神を少し意識するだけで、
“自分を励ます力”が湧いてくるのです。
仕事や勉強に活かす
どんな仕事や学びも、すぐに結果が出るとは限りません。
思うように進まない時ほど、心が折れそうになります。
そんな時こそ、「射石飲羽」のように
“ひとつの目標に集中し、限界を超える努力を続ける姿勢”が大切です。
ストレス社会でのモチベーション維持
現代では、努力しても成果がすぐ見えず、
心が疲れてしまう人も多いでしょう。
そんなときは、「できることを一歩ずつ」という気持ちが大切です。
“石を射抜こう”と気負うよりも、
“今日は弓を引いてみよう”という小さな積み重ねが、
やがて大きな成果につながります。
人生の教訓として
「射石飲羽」は、ただ“努力を強いる言葉”ではありません。
むしろ、「信じて努力を重ねる人こそ、美しい」というメッセージが込められています。
まとめ
「射石飲羽(しゃせきいんう)」とは、
「どんなに困難でも、努力と集中で不可能を可能にする」 という意味の四字熟語です。
この言葉に込められているのは、
結果を求めすぎずに「信じて続ける姿勢」の大切さ。
現代に生きる私たちにとっても、
目の前の壁を乗り越えようとするその心こそが、
人生を前に進める力になるのです。
ヒロト努力って報われるかわからないけど、やっぱり続けるって大事だね。
コトハそうね。小さな積み重ねが未来を変えるのよ。
ヒカル“射石飲羽”の心は、どんな時代にも通じる勇気のことば。
今日も少しだけ、前に進もう!
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